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スマトラ沖地震の津波で行方不明になられた方の遺族年金の取り扱いて
行方不明になられた方の1日も早い発見をお祈りしています。

以前1月18日にアップしたコラムで件で 
大阪の衆議院議員の 吉田治先生の事務所へメールをお送りした所、回答がありました。
コラムのダイジェスト

 先月あったスマトラ(インドネシア)沖地震で 津波により行方不明になった方の年金問題です。 (不覚にも 私の周りには、この問題の当事者は、いなかったのでコラムに書くのが遅くなってしまいました。)

 今の法律では、失踪の宣告により7年先でないと死亡が認められないのでその間遺族年金をうけることができない事になっています。 これが船や飛行機に乗っていて行方不明になったのなら 3ヶ月で死亡の推定が行われ 遺族年金が支給されるのが・・・今回は、津波なので失踪の宣告を待たないと死亡したとされないのです。一家の大黒柱の方が行方不明の場合 当座の生活費に影響が出てきます。
国会議員さん!! このコラムを読んだら 速やかに議員立法を提出して救済に乗り出してください!
以上のような事を 不躾にも突然メールした次第ですが 吉田先生が厚生労働省に問い合わせてくださった結果 次のような回答が得られました。
遺族基礎年金、遺族厚生年金の受給する場合 民法30条1項により 失踪の宣告は、7年ですが、
今回の場合 民法の30条2項の「その他死亡の原因となるべき危難」に「洪水」というのが有ってそれが適用されるのではないか…とのことです。この場合は、1年で失踪の宣告が可能となります。

ただこれ以上早く失踪の宣告を受けるのは、現行法では、無理だろうと思われます。
失踪の宣告を行うのは、あくまでも家庭裁判所なので明言は、避けていますが 事情が事情ですから1年で失踪の宣告を受けられることは、ほぼ間違いものと考えられます。
ということで 行方不明になられた方の関係者は、1年間 何とか凌いでもらえれば遺族年金の受給への道が開かれることになります。

遺族基礎年金、遺族厚生年金を受給する場合の保険料納付要件は、行方不明となった日の前日に於いてみます。
また 受給権者の身分関係、年齢要件や障害の状態は、失踪の宣告を受けた時点で判断されます。

参考条文
失踪の宣告 民法第30条
  不在者の生死が7年間明らかでないときは、家庭裁判所は、利害関係人の請求により失踪の宣告をすることができる。
2 戦地に臨んだ者、沈没した船舶の中に在った者その他死亡の原因となるべき危難に遭遇した者の生死が それぞれ戦争が止んだ後、船舶が沈没した後またはその他危難が去った後1年間明らかでないときも前項と同様とする。

失踪の宣告の効力 民法31条
 前条一項の規定により失踪の宣告を受けた者は同項の期間が満了した時に、同条2項の規定により失踪の宣告を受けた者は、その危難が去った時に死亡したとみなす。
まだ 行方不明の段階で遺族年金のことを口する… 関係者の方からは、不愉快な社労士だと思われても仕方ないと思います。 本当は、どこかで生きていてほしいと願っています。

でも 法律のほんの先っちょだけ担当してる士業ですけど それで困っているいる方がおられれば なんらかで救済できる道はないものかといつも模索しています。私は、困っておられる方のためにこの資格を使いたいと思っています。被災された方の今後で何かほんの少しでもプラスになることがあれば これからも色々な事を発信していきたい思っています。

今回 お問い合わせ頂きました 衆議院議員の吉田治先生に感謝いたします。


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